カテゴリ:スポーツ医学( 3 )

スポーツ医学シリーズ1~朝ごはんで熱中症対策 (今から!!)

厚生労働省の人口動態統計月報の熱中症による死亡率は近年になって増加傾向です。


日中最高気温が31℃を超えると熱中症での救急搬送が増えることが分かっており、暑さが理由であることは明らかです。


しかし、それだけ?昔も暑い日はありました・・・・





学校管理下(部活や体育)において熱中症がもっとも起きやすい時間帯をごぞんじでしょうか?

なんと!!午前10~12時が最も多く

次に12~14時、次に14~16時となります。  005.gif


通常なら一番気温が上がる午後の14時あたりが多いと予想するのですが。

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参照(国立スポーツ科学センター)




この時間帯、気温の上昇に身体が対応できないということが考えられますが、それだけでしょうか?




人間は夜就寝中に約700mlくらいの水分が失われると言われてます。


そうです、朝は体が脱水になっているのです。  008.gif



朝食で十分な水分が補給されず、運動に臨むと午前の終わり頃が一番危険な状態になるわけです。納得!





そこで今回、注目するのが、朝ご飯です。



朝ご飯をしっかり食べることが熱中症の予防につながるというのです。




朝ご飯(和食)には結構な水分が含まれてます。

ご飯どんぶり一杯280gには約200mlの水分が含まれ、味噌汁一杯は150mlの水分、お茶など飲み物100mlとすると合計450mlの水分になります。

また接取カロリー1000キリカロリーにつき体内で130mlの代謝水が生まれます。
朝ご飯が500キロカロリーとして60mlほどの代謝水も加算され、朝飯で合計500ml超の水分を摂取したことになります。
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そして、塩分=ナトリウムなのですが、味噌汁一杯のナトリウムは飲む点滴経口保水液とほぼ同じです。
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おかずで塩分さらにプラス



つまり、朝ご飯(和食)をしっかり食べるということは、経口保水液500mlを飲んだこと以上に匹敵するわけです。  049.gif






塩をとれというのは水だけの摂取だと、血液の膠質浸透圧の関係で汗をかきやすくなり、過剰の水分が汗として逃げていきやすくなります。


汗がたくさん出るということは、再び脱水になりやすいということと同時に汗とともに塩分や鉄分も汗から大量に失われることになるのです。



朝十分な水分と十分な塩分を摂取することで、脱水を補正し、同時に塩分の補充し、身体の準備完了!!



ジュースのみ、簡単な朝ご飯(トースト1枚のみ)なんてのには熱中症の危険因子となりうるわけです。




日頃しっかりと朝飯を食べてない習慣の子は、言われたからといって、なかなか食べれるものではありません。





朝飯に、どんぶり飯に味噌汁と塩分のあるおかずをガツガツ食える身体作り、生活作りは暑くなってからでは遅いのです。




今からしっかり朝飯の習慣を!!!


和食でなくても、水分と塩分がしっかり摂れれば、洋食でもかまいません。




もちろん、朝食だけで熱中症を予防できるものではありませんが、起こしにくい身体つくりには大切なことですね。




出典は西別府病院の松田先生(元なでしこユースのチームDr)にご許可を頂き、「スポーツ医学センターの資料」からです。
by moriken1103 | 2014-04-24 13:55 | スポーツ医学 | Trackback | Comments(0)

スポーツ医学シリーズ~~もろもろ

1、貧血編

小学校から凄く将来を有望視されていた女子選手が成長期のある時期から急に伸びなくなるというケースがよくあるそうです。

選抜チームから外されたりして、将来をあきらめることも多々あるそうです。

彼が、そのような選手のメディカルチェックをすると、すごく高い頻度で貧血であることが多いのだと。

バリバリのスポーツ選手なので、まさかひどい貧血だとは周囲も本人も思ってない。

これは、激しいトレーニングで筋肉が作られる時に、大量に体内の鉄分が消費されることが原因だそうです。

この鉄を補おうとするには、かなり気をつけた食事が必要なんだそうです。

そのことに気づかずに、能力を出せずにいる選手がたくさんいるのだそうです。

とくに女子に多いのですが、成長期の男子にもあてはまることです。



2、脱水は視力障害を起こす

4%の脱水で10%の視力障害が生じるそうです。

この視力障害は、サッカーの試合の後半、トラップを失敗したり、いいセンタリングからのシュートを打ち損じたりする原因になります。

微妙な視力低下が、後半大事な部分での得点の分かれ目を左右するわけです。

いかに、脱水になる前にこまめに水分を補給するかが大切なわけです。

熱中症予防だけでなく、水分補給は勝敗につながるわけです。



3、成長期のトレーニング:標準化成長速度曲線

標準化成長速度曲線なるものがあり、成長期の子供の身長を毎月測ることで、発達段階を4つに分けることができます。

phase 1: 小学校低学年のころから年間数cmの伸びで安定している時期

phase 2: 小学校高学年から中学にかけてで身長が急激に伸びる時期(スパート期)

phase 3: 身長が最大に発育する年齢(PHA: peak high ageという)から年間1cm以内になるまで
        PHAの年齢は個人差があります

phase 4: それ以降

このための成長曲線解析ソフトなるものもあり、子供達の身長を毎月記録することで、解析してくれます。


そして、成長期にあわせて

フェーズ1の段階では主に神経系のトレーニング、

フェーズ2から3の段階ではスタミナ強化を中心としたトレーニング、

マシーンやダンベルなどを使ったパワアップのための筋力トレーニングは、フェーズ4の開始、もしく
はフェーズ3の終わりに近づいてからとなっています。


このようにして、的確なトレーニングで将来のアスリートを育てるわけですね。


ダルビッシュは中学3年間で26cmも身長が伸びました。

その代償として長くつらい成長痛になやまされてました。

そこで、彼の将来を考え、高校時代は下半身に負担がかかるランニングを含めたトレーニングはいっさい行なわず、チーム内でもダルビッシュ用の独自メニューでトレーニングを行なっていたそうです。

あれがなければ、今のダルビッシュはなかったかもしれないと。
by moriken1103 | 2013-09-03 11:48 | スポーツ医学 | Trackback | Comments(0)

筋肉打撲はまず圧迫  (その後の回復を左右します)

打撲したらまずどうする????冷やすだけでいいの?

筋肉の打撲時の対応、初期の基本対応はPRICEです。
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皆さん、安静とアイシング、保護は理解できますよね。

では、圧迫・挙上にはどのような意味があるかをお伝えします。

筋肉を打撲すると内出血を起こすのはよく目にすると思います。

筋肉への打撲の程度がひどいほど、深く広範囲に内出血が発生します。

この内出血が曲者なのです。

内出血が発生した筋肉内では、組織の修復活動つまり細胞の増殖が行なわれます。

この修復活動が過剰になると、つまり細胞増殖が進むと、筋肉が固くなったり、筋肉同士が癒着(くっついたり)します。

その結果、筋肉が伸びにくくなったり、収縮力(機能)が落ちたり、関節の動きが悪くなったりするわけです。

当然、復帰は遅れますよね。
いや、以前のように思うように動かなくなるかも・・・、


これを、防ぐためにはできるだけ局所の内出血量を抑えることです。

では、局所の内出血を抑えるためにはどうすれば?

そうです、まず圧迫です。

局所を強く圧迫することにより、切れている血管からの出血を止め、止血できます。

したがって、筋肉の打撲の場合、アイシングが一番ではなく、まず局所を強く圧迫するのが一番です。

とくに受傷後一時間以内がもっとも重要です。

アイシングのみよりも、多少痛がってもしっかり圧迫することのほうが大切です。


挙上の意味は、心臓より高いところ位置させることで、やはり少しでも出血を少なくするということですね。


そして、もう一つ、損傷した筋肉が固くなって伸びにくくなるのを防ぐために、受傷した部分の筋肉は伸展(伸ばした)状態で保持することが勧められています。
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ただし、靭帯損傷や関節の損傷には無理な伸展はさせないでください。
あくまでも、筋肉の損傷です。


受傷後一時間のこれらの対応が、とても重要で、その後の早期復帰ができるかどうかを左右することとなります。

先ずは圧迫ですよ。




最後に、局所の内出血は最大48時間も続くことがあるそうです。
圧迫は通常1時間程ですので、その後のアイシング、挙上の継続が重要
なこともお分かりかと思います。
当然、この間はマッサージは禁忌です。


リハビリは筋肉の可動域回復に必要で、軽症で2~3日、重症で4~5日経ってから開始です


参考文献:FIFA医学評価研究センター(F-MARC)サッカー医学マニュアル (←クリックで内容閲覧できますよ!)
by moriken1103 | 2011-02-27 20:15 | スポーツ医学 | Trackback | Comments(0)